【波佐見焼】山下陶苑


1984年創業の波佐見焼窯元の山下陶苑。

波佐見焼では数少ない一貫生産ができる窯元で、うつわを手に取る方の立場に立って今までにない価値を想像し、自社ブランドを展開。

ものづくりの楽しさを追求することが理念となっている山下陶苑の代表、山下さんにお話をお伺いしました。

ー山下陶苑が作るもの


波佐見焼の窯元として、テーブルウェアと呼ばれる陶磁器を製作しています。

最近では発色の研究をして、繊細な色で組み合わせたりしてうつわ制作に取り組んでおり、お客様が見て「なんだろうこれは」と驚くような、独創性のあるものを作り出しています。

波佐見焼は400年の歴史があると言われています。江戸時代には長崎から大阪の高槻まで運ばれ、淀川で船客に飲食物を販売した小舟「くらわんか舟」で使用されていたことでも有名です。



ー山下さんの活動歴    


この会社は私の父が今から40年ほど前に、当時修行していた窯元から独立して立ち上げたものになります。私が学生の頃には既にありましたので、こちらに入るために高校ではデザイン科に進み、専門学校に2年間通ってから入社しました。


働く前は陶芸とは違う仕事をしたいと思う頃もありましたが、父からものづくりの面白さを教えてもらい、作り手として働くことに魅力を感じるようになりました。


窯元に入った当初はお茶碗の絵のデザインをすることが制作活動の主軸でしたが、そこから少しずつ世の中の変化に合わせて作品を進化させていくために、経営にも携わるようになりました。父の後を継いだのは今から10年程前になりますね。



ー窯元人生における印象的なエピソード


私が窯元の代表として父から引き継いだ時に、時代の変化に合わせて窯元も進化していかなければ、生き残りが厳しいと強く感じるようになりました。父は少し頑固なところがありましたので、現役の時代にはなかなか変えることは出来なかったんです(笑)


「自分が今後何をやって次世代に繋げるか」という課題に向き合うようになり、卸の流通や商品の形成について考える様になりました。会社としての強みやどんな作品を世に出していくかということを半年間ほど長い時間をかけ話し合いを重ね、どのように生きていくのかと強く考えていました。この試行錯誤のお陰で現在では徐々に認知度が上がって、今年のはさみ陶器まつりに出展した際には、お客様からの見る目が違ってきたような気がします。



ー今、一番思い入れの強いブランド


オリジナルブランドの「nucca」は特に注目されています。

nuccaは長崎の方言で「あたたかい」という意味で、使う人へのあたたかな想いまでもが伝わってくる、そんなブランドです。

ブランドの中でも「練色/NEIRO」というシリーズは、均一に美しい色のマットな作品であるため特に人気があります。新しく開発した「色」を練り込んだ陶土により、どこの面でも均一に同じ色を出すことが実現しました。このシリーズはアクセサリーなども展開しています。

今はマットな質感がとても人気が高いので、はさみ陶器まつりでもとても売れたんですよ!

ーものづくりで大切にしていること


自分が楽しいかどうかを一番大切にしています。作品を作っていると、特に窯で作品を焼いた後、扉を開ける時にはこの上なく楽しく感じますね。


また、商品デザインやブランドを考える時にも意識していることはやはり楽しさです。

作ってわくわくするものや、一目見て表情が明るくなるような商品を見て学んだり、実際に様々な方の声も聞きながら参考にしてますね。

作品を見た時のお客さんの反応や表情を見ると、更に自分の想像を掻き立てられてこれもまた楽しいので、様々な人とのコミュニケーションを取りながらものづくりを行っています。

「私たちにしかできないものづくりと、ものづくりの楽しさを追求することにより、今までにない価値を創造する」

自分達が作っていて楽しいか、ワクワクするかどうかを大切にし、ライフスタイルの変化に合わせた波佐見焼を作り続ける山下陶苑の想いについて教えていただきました。


ジャパレボでは山下陶苑の「nucca」が販売中です。

可愛らしいパステルカラーは全て伝統色で何度も釉薬の調合と試作を繰り返し再現しているものです。「伝統×モダン」を掛け合わせたデザイン食卓の雰囲気を色で演出し、程よいマットな質感が食卓をイマドキに変えてくれます。

「nucca」の由来でもある「あたたかさ」を感じられる、素敵なうつわとなっておりますので、ぜひこちらよりご覧ください。