「テーブルコーディネート」と聞けば、上質な印象だったり、普段のお食事には少し敷居が高いイメージがありますよね。
今回はテーブルコーディネーターの和田さんから、テーブルコーディネートには背伸びをした特別なものは必要ないこと、まずはモノではなくおもてなしの心が大切なことを教えて頂きました。貴方も是非、今日からテーブルコーディネートを少し楽しんでみませんか?
ーテーブルコーディネートとはどんなものか改めて教えてください。
「テーブルコーディネートはテーブルを囲む方に食事をよりおいしく楽しんで召し上がっていただき、素敵な思い出を持ち帰って頂くよう演出すること、になると思います。
『視覚は美味しさの80%を占める』という言葉があるように、どんな一流シェフが作ったお料理でも、食器が汚れていたり空間が心地よくないと美味しさは半減してしまいますもんね。お料理のみならず全てのトータルバランスが大切です。」
確かに食空間演出をするとより美味しくお食事が頂けますよね。これまでテーブルコーディネートを毎日の食卓に取り入れたいと思いつつも、難しいイメージがありました。
「テーブルコーディネート、と聞くと豪華な食器やお花などで演出されたゴージャスな食卓をイメージされると思いますが、実はもっと手軽に始めることができるんです。ランチョンマット(テーブルマット)を使う、配色に気遣ってみる、お箸置きなどで季節を取り入れる…日常でも取り入れられることはたくさんあります。
テーブルにDMやお子さんの宿題など食に関係ないものがのったままになっていませんか?そういうものを取り除き食に向き合う空間を作ることも大切だと思います。」
おうちにあるものから始められるんですね!それなら毎日のお食事でも実践できそうです。
ーテーブルコーディネートには、難しいルールなどはありますか?
「お食事される方の手の届く範囲にカトラリーやグラスを置くこと、お花の香りがお食事の邪魔をしないようにすること、向かい側の方のお顔が見えるようにお花の高さを意識することなど、お食事をされる方の食べやすさへの配慮は大切にしますが、厳しくて難しいルールは少なく、自由度は高いです。」
ー和田さんがテーブルコーディネートの魅力を感じた、出会いやきっかけを教えてください。
「まずは母の影響でしょうか。幼少期のお誕生日やクリスマスなどのイベントには、クリスマスツリーにお菓子を吊るしたり、ちょっとおしゃれな器にフルーツポンチを盛り付けてくれたり…母が楽しませてくれました。人が喜ぶ演出をすることは素敵だと感じるようになったのはそれが原点だと思います。
テーブルコーディネートと本格的に触れ合うようになったのは、24歳の頃にイギリスでインターンとして働いたことがきっかけです。皆さんにとてもよくしていただき、いろいろな方のホームパーティーに招かれステキなテーブルを目にしました。なかでもイースターやクリスマスなどのオケージョンのテーブルは今も鮮明に覚えています。そんな経験から、テーブルコーディネートは人をハッピーにするものなんだとより魅力を感じるようになりました。」
幼少期の思い出と、インターン先のイギリスの食卓からテーブルコーディネートの魅力を感じられるようになったんですね。
ーイギリスと日本のうつわの使い方に違いはあるんでしょうか?
「イギリスの方はひとつの食器のブランドやシリーズを6〜12ピースのセットで揃えることが多いようです。日本だと一つの食卓に色違いや型違いのうつわを使うこともありますよね。日本のうつわの使い方はより自由度が高く、自由な発想で柔軟に使える楽しさもあります。」
文化の違いによってやはり違いがあるんですね。購入する場所も変わってきそうですね。
ー和田さんはテーブルウェアをネットショップで購入することはありますか?
「もちろんありますよ!食器は重いので配送していただけるのは助かりますし、ネットの方がお目当ての器が手に入りやすいこともあります。人気の作家さんの作品などは個展が遠方で開催されたりなかなか入手できなかったりしますが、オンラインでこまめにチェックしてお気に入りを見つけたということもあります。」
最近はオンラインショップのうつわも選択肢が豊富ですもんね!
ー普段のお食事でテーブルコーディネートをする時に和田さんが意識していることを教えてください。
「大きく分けて2つのことを意識しています。一つ目は食べ物が主役だということです。お気に入りの食器を見つけたら全てを使いたくなったりしますが、トータルバランスを考えて主役を引き立てるよう引き算を心がけることが大切ですよね。
もう一つはテーブルを囲む方が笑顔になることを意識しています。食べにくさや戸惑いを感じて緊張するのでなく、素直に楽しいな、嬉しいなと思っていただけるように心がけています。
テーブルコーディネートは敷居が高いように思われることが多いですが、日常使いの食器を使った方がゲストも気が楽ですよね。それに使い慣れたうつわだと自分が作ったお料理もうつわ負けしないです。私も『シェフ』ではなく『主婦』ですから(笑)」
テーブルコーディネートには色々なものの準備が必要だと思っていましたが、日常に寄り添ったものだったんですね!
「そうですね、工夫次第で日常の食卓が素敵になります。例えばワイングラスを花器として使ったり、フローティングキャンドルを浮かべて食卓に置くだけでも素敵ですよね。お家にあるアイテムを決まった用途で使うだけではなく、いろいろなものに見立てて使うのもおすすめです。」
その方の工夫次第で、まずは手持ちのもので素敵なコーディネートができるんですね!忙しい日々の食卓でも実践できそうです。
「はじめからうつわを揃えてトータルコーディネートをしようとハードルをあげなくても大丈夫です。お庭の植物やお花屋さんで買ってきたお花一輪を飾ったり、季節のお箸置きや小物を取り入れたり…まずはそんなちょっとしたアイテムを加えることで普段の食卓をいつも以上に楽しでみましょう。
そして、ご自身がどんな食空間を目指したいかをある程度明確にしてから、お好みやこだわりに合わせたうつわ選びをすると失敗が少ないと思います。」
ー最後に、和田さんにとってテーブルコーディネートとはどんなものか教えてください。
「フランスの食評論家ブリア・サヴァランの言葉に『禽獣は喰らい、人間は食べる。教養ある人にして初めて食べ方を知る』というものがあります。私たち人間は単にお腹を満たすために食べるのではなく、食を楽しむことに特別な思いがあるのだと思います。
1日3回必ず訪れる食の時間。それをより豊かにするのが、テーブルコーディネートだと考えています。」
テーブルコーディネーター 和田三美子
杉並区内自宅でテーブルコーディネート教室を開く。
その他アイシングクッキーレッスンなどもリクエストに応じて開催。
☆テーブルコーディネーター
☆CPA認定チーズプロフェッショナル
☆JSA認定アイシングクッキー認定講師
☆中国政府公認中級中国茶藝師
テーブルウェアフェスティバル2017 入選
テーブルレシピ主催コーディネート・フェス 入選
いっしょに食べよう!2020 協会賞
いっしょに食べよう!2022 入選