早川綾子の「身体にいいものを届けたいという思いが叶えたこと」


滋賀県大津市にて、料理教室「コトコトキッチン」を営む早川綾子さんにお話を伺いました。取材中、笑顔の絶えない彼女の口から出てくる言葉から感じたのは「食が教えてくれた料理への想い」でした。

ー料理教室を始められたきっかけはなんでしょう?

「自分で今の料理教室を始める前、子供向けの料理教室に勤めていました。子供が好きで、教育学部出身の彼女は、子供に関わることのできる仕事をしたいと探していたときに見つけた料理教室に勤めることになりました。当時は、料理が苦手で、ほとんどしたことなかったんです。それに、自分が食べるだけなら、お腹がいっぱいになればなんでもいいとさえ思っていて、料理はもちろん、健康的な食生活なんて考えたこともなかったんですよ。」 

ー自分が食べるだけならいいや...その気持ち、よくわかります。
苦手な料理の仕事を続けられたのはなぜですか?

「教えないといけないからたくさん勉強しました。それがすごく楽しかったんです。知らないことを知ることは、新鮮だったし、それを教えたときの子供たちの表情や、作ったものを美味しそうに食べてくれる姿を見ることができるのはやりがいになっていましたね。「こんなこと本当にあるんだ!」と思ったのは、料理教室に通っていたおかげで嫌いだったものが食べられるようになったという子供がいたこと。親御さんからこういった報告を受けることも多くて、私自信が料理をどんどん覚えていくように、子供たちも成長していくのを近くで見ることができて嬉しかったです。」

 ー大好きな子供と関われてやりがいもあった料理教室の仕事、独立を決めた理由を伺ってもいいですか?

「身体にいい料理を教えていきたいという思いとタイミングと応援が揃ったからですかね。結婚して、夫と娘という大切な家族ができてから、料理で健康を保つことを意識するようになりました。その気持ちは、お腹いっぱいになればいいなんていう、一人だった頃には思わなかったことで、美味しいだけでなく、身体にいい料理を学ぶうちに、これを自分で伝えていきたいと思うようになったんですね。また、料理教室には10年勤めたのですが、その間、たくさんのことを学び、生徒の笑顔もたくさん見ているうちに、自分でも教室を持ってみたいと思うことはありました。でも、教室にするための場所を借りるのはお金もかかるし、私にできるのかなって不安が大きくて、なかなか決めきれずにいたんです。そんなときに、新しく自宅を建てることになり、思い切って自宅で料理教室をしようと決めました。ですので、キッチンにはとてもこだわりましたよ〜。生徒さんに教えるのはもちろん、レシピを考えている時間や、家族のための食事を作るときも使うキッチン、私が一日の中で過ごす時間が一番長い場所なので、私の理想がたくさん詰まっています。 
自宅で料理教室を、しかもこんなにこだわったキッチンを作ることを快く了承してくれて、応援してくれた家族にも感謝ですね。家族の賛成がなかったら実現できなかったかも。畑を始めたきっかけも同じで、身体にいい料理に使う食材も身体にいいものがいいと思っていて、いつか畑もやってみたいな〜と思っていたタイミングで、ご近所さんにお声がけいただき始められることになったんです。無農薬で育てているので、虫や雑草に頭を悩まされますが、自分で作った野菜を収穫して、料理にして出したとき、美味しいって言ってもらえると、大変だったことも報われるんですよね。あのときの悩みや苦労は、健康で美味しい食事への先行投資だったんだなって思えて、嬉しくなります。」 

ー身体にいい料理を届けたいとのことで、普段そのような料理を作るとき早川さんが意識していることとは一体...?

毎日でも食べたい!と思えるような美味しくて身体に負担のないものを作ることです。家族が食べる姿はもちろん、生徒さんやそのご家族が召し上がることを考えながら作るので、私がいないところでも安心して美味しいと思ってもらえるよう、自信のあるものだけを届けるようにしています。私が自信を持てる基準が、毎日でも食べたいと思える料理なので、何度も試行錯誤しています。だから、実は失敗の方が多いんです...(笑) 

ー元々は苦手な料理をお仕事として始められて、失敗もたくさんされてきたとのことで、苦労されたことや辛かったエピソードがあれば教えてください。

「ない!ないですね!失敗はつきものですし、そこからアイデアが生まれたり、改善点がわかったりするので、へっちゃらですよ。料理教室兼自宅のキッチンで生徒さんに教える用のレシピを考えているので、作ってみた料理は家族が食べてジャッジしてくれます。『もう少し甘い方がいいんじゃない?』や、『これは違うものを合わせた方が美味しい気がする』など、感想を伝えてくれるので、それを参考に、改善しようとキッチンに向かう、これの繰り返しです。自信のあるものを届けるためにこうして試行錯誤を繰り返すのですが、信用している家族からの言葉ありきで、今までのレシピは生まれてきたのかもしれません。料理にゴールはなく、常に美味しくなるために進化していいと思っています。」

ー身体に優しい料理のために早川さんが意識していることですぐに取り入れられることが知りたいです!


「調味料の裏を見て横文字の難しそうな言葉の少ないものを選ぶというのはいかがでしょう?料理する際に調味料は欠かせないと思うのですが、今、たくさんの種類の調味料があるので、どれが美味しくて身体に負担がないか見極めるのは難しいと思うんです。そんなときは、成分表を見て、聞いたことも見たこともないようなカタカナが入った調味料はなるべく選ばないようにしています。それが、添加物である場合が多いからです。添加物の種類ってとても多いから覚えるなんて無理だし、添加物が全く入っていないものだけを選ぶのもこれまた難しく、続けにくくなってしまう気がしています。添加物が入っていることで、長期保存できるというメリットもあるので、きっちりかっちりせず、裏面の成分表を見て、カタカナがなるべく少ないものにしよう〜というテンションで選んでいます。」 

 


ーさいごに、早川さんが料理を通して、学んだことや大切にしていることを教えてください。


「苦手だった料理を始めたことで、子供たちの笑顔や成長を見ることができて、家族にも応援してもらえて、生徒さんにも喜んでもらえて、私にとって料理はコミュニケーションの一つになっていると感じます。美味しいものは人を幸せにすると思っています。そこに、健康要素も加わったら、最高じゃないですか。これからも、料理というコミュニケーションで身体にいい料理をたくさんの人を幸せにしていきたいですね。」

早川綾子
滋賀県大津市にて「コトコトキッチン」を主宰。優しい、美味しい、簡単、体の中から綺麗になるをモットーに、丁寧にレッスンを行っています。講師自ら畑で育てた新鮮なお野菜と、塩麹や甘酒など、発酵調味料を使った簡単で美味しい腸活メニューをお届けしています。